愛猫のはなし 甲状腺機能亢進症③ 治療~
前回の続きになります。
【11月12日】
往診は夜しか来れないそうなので、私なりに今回の愛猫の症状を頼りに何が起きたのかを調べまくりました。
ネット時代って本当にありがたいですね。
甲状腺機能亢進症に加えて併発されるだろう病気がたくさん出てきました。
一番近いと思ったのが、急性腎不全。
処置の方法に「静脈からのいち早い輸液」とあったので、先生が静脈輸液を勧めたのもおそらくこのためでしょう。
ならば皮下点滴に効果はあるのか?
調べると、静脈輸液ほどの効果は無いものの「体内の毒素を尿として排出させる手段」「嘔吐による脱水症状の回復」「緩和ケアのひとつ」等とありましたので、夜でもいいから点滴はしてもらおうと気持ちが固まる。
少しでも苦しさが改善するなら、と往診までの長い待ち時間をネット検索をしつつ、愛猫の側に付き添いました。
調べると、急性腎不全を起こした理由にも辿り着きました。
この甲状腺機能亢進症という病気、各臓器を過剰に動かすホルモンを分泌するせいで、本来であればすでに慢性腎不全になっていてもおかしくない腎臓にも作用し、尿を出す機能を無理矢理維持出来るらしいのです。
その結果、甲状腺機能亢進症の治療によりホルモンの過剰分泌が減少したことで、隠れていた腎不全が表に出て腎不全に陥る。
だそうです。
しかし、治療食に完全に変えたわけでもない現時点で、急性腎不全に加えて心筋症(この病気になると併発が十分に想像できるそうです)、さらには肝機能低下からの黄疸まで引き起こすものでしょうか…。
引き金になったのが持病の甲状腺機能亢進症だとは分かっても納得できず、とにかく早く点滴をしてあげたいと思いました。
ようやく、先生からの電話。現在の状況や昨日の状態などを説明し、必要な輸液を作ってもらうことに。
先生が往診に訪れると、それまで声も出せずにうずくまっていた愛猫が威嚇の声を出しました。
本当に嫌なのだと思います。それでも点滴を終えたらきっと楽になるから、と言い聞かせてなんとか点滴と注射による薬剤投与を終えました。
ここでも不測の事態。
治療が終わって半時も経たずに、嘔吐の前に見せる例のゲコゲコを愛猫が始めたのです。
なんで?
緩和ケアって何?
余計苦しんでるじゃない!
その後も、最初こそ胃液を吐けましたが、胃液のない状態でも吐き気が収まらずに苦しそうにゲコゲコと繰り返します…。
人間でも嘔吐するときってとても苦しいですよね。
猫だって苦しいし体力消耗するのです。
ただでさえ飲まず食わずで体力ゲージが無いと言うのに…。
誰がこんなことを予想したでしょう。
病院に行って注射でもしてもらったらあっさり治ると思っていた私の考えが甘かったと痛感しました。
それでもまさか、容体が急変してから僅か3日で決断を迫られるほどの事態になるとは想像していませんでした。
治療を続けるか、治療を止めて自然に任せるのか、真剣に考えねばならないと悟りました。
猫の意思を尊重するなら、もう何もしない、が最良の方法だと思うけれど…。
その夜から、翌日の昼までさんざん悩みました。
さすがにそう何日も仕事を休むわけにはいかないので、日中は母に付き添ってもらうことにしていましたが、その母から「もう止めよう」とメールが入りました。
確かにそうかもしれません、ただでさえキツイ状況に加え、緩和ケアになると思った治療は逆に更なる苦しみを伴なわせてしまいました。
愛猫はきっと治療なんて望んでいないはず。
ただでさえ臆病で他人には懐かない愛猫に、これ以上怖い思いをさせ、さらにまた吐き気を伴うならば止めたほうが良い。
あんなにもきつそうな愛猫の姿は見たくありません。
更にいろいろと調べましたが、甲状腺機能亢進症を根治するには手術による摘出しかなさそうです。
手術ができない以上は、仮にここで一時的に症状が好転しても再び同じ状況になることが想像されます。
同じ苦しみを何度も味わうなど、私自身事置き換えれば、絶対に嫌です。
ならば愛猫も同じ気持ちだろう。
そう決断し、その日の往診をお断りしました。
治療をしないという事は、遅かれ早かれ最期が来るという事。
猫も覚悟していることでしょう。ならば飼い主である私も覚悟をしなければ。
そう思っても、一日でも長く、もしかして奇跡が起こるかも、と願ってしますのですけれど…。
病名が判明してから、この日で21日目、急変してから僅か3日目の出来事です。
もう少し続きます。
つづく。