愛猫のはなし 甲状腺機能亢進症② 急変~治療
前回の続きになります。
【11月10日】
お昼ごろでしょうか、愛猫が鳴くので様子を見に行きました。
何かなと思って見に行くと、ほぼ手付かずで残っているフードが目に入る。
飽きてきたのか、甲状腺ホルモンの影響から過食気味だった食欲がセーブされたせいか、とにかく食欲が落ちてきたイメージはあったので、空腹なのかと茹でササミをやると嬉しそうに食べました。
やっぱりお腹が空いたのか。朝ごはんを食べないからお腹空くんだよ。なんて言いながら食べさせると満足した様子。
そこから10分も経たずに、愛猫がゲコゲコと言い出し嘔吐。
その時の私は、収まっていた嘔吐がまた始まっちゃった。餌をきちんと適量食べないせいかも。と思いつつも、いつもの嘔吐だと考えていました。
その後もさらに2回ほど胃液を吐くものの、私の中では胃液を吐くことに多少の違和感はあっても大事とは思わず、きちんと療養食に切り替えなかったせいで状態が後戻りしたものと思っていました。
夜になった頃、ようやく異変に気が付きました。
いつもならとっくにリビングに来ている時間にも関わらず、ネコハウスに入ったままの愛猫は呼んでもなかなか出て来ません。
療養食に変えて穏やかになった愛猫は、以前のように甘えなくなっていたのは確かで、リビングに来る時間も遅くなってはいましたがそれにしても遅いのです。
それでも入口の狭いネコハウスに入られると、引っ張り出すのも一苦労なので無理強いはしたくなく、しばらく様子をみることに…。
ようやく甘えるように鳴きながらやって来た愛猫はいつもの定位置で寝転びますが、ものすごく呼吸が速いのです。
何が起きたの??と思いつつも、ここでもまだそれほど大事だとは思っていませんでした。
少ししたら落ち着くかも、明日には治っているはず、そんな気持ちでその夜は過ごし翌朝を迎えました。
【11月11日】
私の淡い期待は裏切られ、愛猫は変わらず荒く速い呼吸を続けています。
これは放置してはいけないと、慌てて病院に連絡し予約を取りました。
診察のために動物病院へと連れて行くと、愛猫の様子を見た先生も開口一番「何が起きた?」と驚きの表情を浮べていました。
それほど呼吸の速さは異常でした…。
すぐに血液検査とレントゲン、聴診器での診察となりました。
血液検査と聴診器による診察は、私がそばにいることもあり比較的大人しく出来る愛猫ですが、レントゲンとなるとそうはいきません。
おそらくメチャクチャ抵抗したのでしょう。
診察室に戻ってきた愛猫は口を大きく開け肩で呼吸しています…。
ごめんねぇ、イヤだよねぇ。キツかったねぇ。と声をかけつつもこんな姿は初めてなので不安は募るばかり。
加えて、ここまでして治すのが正解なのか?という疑問がいつもの如く付き纏います。
結果としては最悪のことが起きていました。
転院先の獣医さん、良くも悪くもバカ正直に言葉を発します(が、具体的な説明は下手)なので、レントゲン写真を持ってきて一言「心臓が爆発しているような状態」
言葉を失う私。
慌てて言い直す先生…。
「心筋症を起こしています」
愛猫に何が起きたのか…。
半ば放心した私を残して先生は別室へ。
なんかフォローしてほしい…。と思いながら待つこと10分から15分、今度は血液検査の結果を手にした先生が戻ってきた。
「腎臓の数値が悪化してます。というか、メチャクチャ高い。肝機能も変わらず良くないし、とうとう黄疸が出てます」
さらに言葉を失う私。
これがそうなのかな。
放置するとあらゆる臓器が破綻するっていう………。
そうは言いつつも、ここまでの急変はかなり稀有なケースなのか?先生にも愛猫に何が起きたのか分からない様子でした。
そこで提案されたのが点滴でした。
「今出来る事は点滴だけで、上がってしまった数値を最低でも、最初ここに来たときの数値まで戻すことです。とにかく早く始めたほうがいいし、効果が高いのは静脈からの点滴で時間がかかるので預かりたい」
そう言われたところで、堪えてた涙がボロボロと溢れました。
なんでもっと早く病気に気づいてあげられなかったのか…。
募るばかりの後悔。
後悔したところで後戻りは出来ないのにね…。
涙ながらに愛猫を残し、病院を後にしました。
愛猫は不安で仕方なかったことでしょう。
独りで見知らぬ場所に残されて。
案の定というか、愛猫を預けて1時間ほどすると動物病院から連絡が入りました。
静脈点滴をするための留置処置を拒み、これ以上暴れては心臓への負担が大き過ぎて危険と判断され、効果としては低いけれども皮下点滴をして戻します、という内容でした。
引き取った愛猫は、皮下点滴が効いたおかげか、単純に病院で暴れたせいなのか、とにかくぐったりしています…。
相変わらず吐き気も強いようで、吐くものないのに吐く仕草…。
胃液すら出て来ません…。
大好きだった液状のご飯(チュールではありません)も拒み、水すら飲もうとしません。
見ていて辛い…。
この日は夕方にもう一度、皮下点滴をしに行く必要がありましたが、あまりにもぐったりとしている愛猫を再度、病院に連れて行く気にはなれずに往診を相談。
さすがに今日は無理と言われ、私自身もこんな状態の愛猫に点滴してもらう気にはなれなかったので、明日からの往診をお願いしました。
深夜になってようやく水だけは飲む気になったのか、愛猫が重い体を起こして飲水し、24時間以上振りに尿を出しました。
そこで少し安心して、私も就寝することに。もちろん熟睡なんて出来ないので数時間起きに目覚めては愛猫の状態を確認…。
愛猫は眠りません。
吐き気が強いのか、キツくて眠れないのか、とにかくずっと目を開けた状態で大人しくうずくまっています。
せめて眠ってほしいと思いながら、本当に長い1日が終わりました。
病名の判明から10日弱で、ここまでの急変を誰が予想したでしょう。
病名が分かってから、どんな病気なのか、どうすればいいのか、など自分なりに調べたつもりでした。
しかし、そのどれもが(仮に亡くなるとしても)療養しながら数年は平穏に生きていたというものばかり。私の愛猫のように2年の放置期間があるとしても、愛猫よりもさらに高い数値をたたき出しながらも数年以上、上手に治療しながら過ごした猫ちゃんのほうが多いというのに…。
なぜうちの愛猫だけがこんなことに、と思わずにはいられませんでした。
引っかかるのは「肝臓がえらく小さいな」という先生のあの言葉…。
つづく。